会社廃業をするための最低限の10の手続き解説!

登記・届出・官報公告・申告

会社(法人)を廃業するには?

会社を廃業するためには、法人(格)を消滅させなければなりません。

すべての法人は、法務局に登録されているため、それを消すための登記手続きが必要となり、会社には、株主のほか債権者・債務者などの利害関係者がいるため、「官報への公告」とともに「法務局への2回の登記」が必要となります。

さらに、税務署・都道府県・市区町村へ「登記内容についての届出」のほか、「最低2回の税務申告」が必要になります。

【STEP1】解散の決議・清算人の選任(株主総会)

会社を解散するにあたって、まずは「解散日」と「清算人」を決める必要があります。

【解散日】

会社を解散する場合の「解散日」とは、事業(営業)活動を終了する日となりますので、自分で決めることができますが、解散日以降は、原則として営業活動(売上の獲得など)ができないことになりますので、ご注意ください。

解散日を決める場合には「会社の決算日」を考慮にいれて検討する必要があります。

会社を解散した場合の事業年度は「事業年度開始の日」から「解散日」までを1つの事業年度として申告が必要となり、それぞれの期間ごとに(数日間であったとしても)、帳簿書類や決算書を作成して、税務署や都道府県・市区町村へ税務申告が必要となります。

従って、「解散の日」を決算日の前にするのか後にするのかで、決算や税務申告の回数が変わり、その分の経理の手間が変わるだけでなく、納付する税金が変わることもあります。

例えば、決算日前を解散日にすると、解散日で一度締めることになるため、解散日までの分を申告すればいいのに対し、決算日の後に解散すると決算日までの申告をして、その後に別途、解散日まで期間についても申告もしなければならないこととなります。

事業活動を停止する日が決算日に近い場合には「決算日」を「解散日」とするのが、良いでしょう。

【清算人】

「清算人」とは、会社の清算を行う人のことです。
会社が解散の決議を行うと、その時点で取締役は退任することとなるので、「清算人」を決めなければなりません。

「清算人」は、多くは代表取締役の方が就任しますが、別の役員やご親族の方などでも構いません。

なお、定款または株主総会の決議によって清算人になる人がいない場合には、取締役がそのまま清算人となります。

【STEP2】解散・清算人選任の登記(本店所在地管轄の法務局)

解散日から2週間以内に、「法務局」に解散及び清算人選任の登記を申請しなければなりません。
登記するためには、登録免許税39,000円(解散登記30,000円+清算人選任登記9,000円)が必要となります。
登記申請から約10日~2週間程度で、解散登記が完了します。

【STEP3】税務署などへ解散の届出(税務署・都道府県・市区町村)

会社の解散登記が完了しましたら、税務署・都道府県税事務所・市区町村に対して、それぞれ「履歴事項全部証明書」を添付して、「異動届出書」を提出しなければなりません。
その他、会社によっては、社会保険(日本年金機構や健保組合)・労働保険(ハローワーク・労働基準監督署)などへ届出が必要となります。

【STEP4】財産目録・貸借対照表の作成(会社)

清算人は、就任後遅滞なく、会社の財産を調査した上で、解散日時点の「財産目録」と「貸借対照表」を作成して株主に開示して、株主総会の承認を得る必要があります。

なお、財産目録等は会社で保管しておきます。

【STEP5】債権者保護手続き(官報掲載の手続き)

清算人は、解散後遅滞なく、債権申出の公告を行うとともに、把握している債権者に対しては、個別に通知を行い、会社に対する債権額やその内容を申し出てもらう必要があります。

この申出期間は『最低2ヶ月間』おかなければなりません。

そして、この債権申出期間中は、原則として、裁判所の許可がない債務の弁済をすることができません。

【STEP6】解散事業年度の確定申告書を提出(税務署・都道府県・市区町村)

解散日から2ヶ月以内に、「事業年度開始日」から「解散日」までの期間を『1つの事業年度』とみなして、税務署・都道府県税事務所・市区町村へ解散確定申告をしなければなりません。

事業所があった期間についての地方税(均等割)のほか、所得がある場合には納税が必要となります。
また、消費税の申告義務がある会社が、この期間に会社名義の資産を売却したり、名義変更を行った場合には、特に注意が必要です。

【STEP7】残余財産の確定・分配(会社)

清算人は、会社のすべての債権(売掛金や貸付金など)があればこれを取り立てて回収し、債務(買掛金・借入金・税金など)を支払い、会社財産の全てを現金化して、残余財産を確定しなければなりません。
また、債務の総額が資産の総額を上回っていれば、このままでは清算結了できませんので、債権者に債権を放棄してもらう必要があります。

その後に、残余財産を株主に分配(返金)し、清算人は決算報告書を作成し、株主総会を開催して承認を受ける必要があります。
決算報告書には、解散の日の翌日から残余財産確定の日までの期間における、下記の事項を記載する必要があります。

  • 債権の取立て、資産の処分その他の行為によって得た収入の額
  • 債務の弁済、清算に係る費用の支払いその他の行為による費用の額
  • 残余財産の額(支払税額がある場合には、その税額と税額を控除した後の財産の額
  • 1株当たりの分配額

株主総会の承認を受けると会社の清算は結了することになります。

【STEP8】清算確定申告書を提出(税務署・都道府県・市区町村)

残余財産が確定後1ヶ月以内に、税務署・都道府県税事務所・市区町村へ清算確定申告をしなければなりません。

事業所があった期間についての地方税(均等割)のほか、所得がある場合には納税が必要となります。
また、消費税の申告義務がある会社が、この期間に会社名義の資産を売却したり、名義変更を行った場合には、特に注意が必要です。

【STEP9】清算結了の登記(本店所在地管轄の法務局)

株主総会での承認を受けた日から2週間以内(支店所在地については3週間以内)に、清算結了の登記申請を行う必要があります。
なお、清算結了登記申請書には、株主総会議事録・決算報告書・株主リストを添付し、登録免許税(1ヶ所につき2,000円)が必要となります。
その後、登記申請から約10日~2週間程度で、清算結了の登記が完了します。

【STEP10】清算結了の届出(税務署・都道府県・市区町村)

清算結了の登記が完了しましたら、税務署・都道府県税事務所・市区町村に対して、それぞれ「閉鎖事項全部証明書」を添付して、「異動届出書」を提出しなければなりません。