会社を自主廃業するときにやるべき「全26つの手続き(取引先・従業員・社会保険などを含む)」

会社を作るのは簡単ですが、廃業するためには、多くの手続きが必要となります。

専門家に依頼することができる「法務局や税務署などの役所へ手続き」だけでなく、会社でしかできない細々なこともあります。

従業員の有無などにより、必要な手続きは違いますが、スムーズに廃業手続きを終えるためには、同時に進める必要もありますので、チェックリストとしてお役立て下さい。

なお、当事務所にご依頼の方には、お申込み後に解散日が決まりましたら、それぞれ具体的な期限などを記載した『今後のスケジュール表』を作成してお渡ししております。

① 解散日(事業活動を終了する日)と清算人(会社の清算を行う人)を決める

会社を解散する場合には、まずは「解散日」と「清算人」を決める必要があります。

「解散日」とは、事業(営業)活動を終了する日をいい、自分で決めることができますが、解散日以降は、原則として営業活動(売上の獲得など)ができないことになりますので、ご注意ください。

「清算人」とは、会社の清算を行う人のことです。
会社が解散の決議を行うと、その時点で取締役は退任することとなるので、「清算人」を決めなければなりません。
「清算人」は、多くは代表取締役の方が就任しますが、別の役員やご親族の方などでも構いません。
なお、定款または株主総会の決議によって清算人になる人がいない場合には、取締役がそのまま清算人となります。

② 取引先への通知

解散日を決めたら、取引先などに「廃業のお知らせ」を書面などで通知した方が良いでしょう。

自社の都合とはいえ、取引先のことも考慮すべきなので、遅くても解散日の1ヶ月前に通知するようにしましょう。
なお「廃業のお知らせ」には、廃業の理由は、特に述べる必要はないでしょう。

例文

会社廃業のご挨拶
拝啓 初秋の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
平素はひとかたならぬご厚誼を賜り、心より御礼申し上げます。
さて、弊社は◯年の創業以来、皆様のご厚情により、営業を続けてまいりましたが、諸般の事情により来る◯年◯月◯日をもって廃業することとなりました。
これまでに皆様から賜りましたご愛顧に心から感謝申し上げますとともに、突然の廃業でご迷惑をおかけしますことを深くお詫び申し上げる次第でございます。
甚だ略儀ではございますが、書中をもちまして弊社廃業のご挨拶を申し上げます。
皆様の今後のご健勝とご発展を心よりお祈り申し上げます。 敬具
株式会社◯◯
代表取締役 〇〇〇〇

社内の手続き

③ 在庫や設備などの処分

会社の商品などの在庫や、社内の機械や備品などの設備について、現金化又は処分が必要となります。
なお、会社の帳簿価額以上で処分した場合には、その差額については、所得として税金が課税されます。

④ 賃貸物件や公共料金などの解約手続き

賃貸物件については、貸主との賃貸借契約を解消するとともに、保証金や敷金などについても精算する必要があります。
最終的には、電話・インターネット設備・電気・水道などの公共料金の解約手続きも必要となります。

⑤ 加入団体などへの退会手続き

同業者団体や商工会などの団体に加入している場合には、退会手続きが必要となります。

⑥ 従業員への解雇手続き

従業員を雇用している場合には、従業員に対して、原則として少なくとも30日前までに解雇通知を行わなければなりません。
この30日前とは、労働基準法で定められているもので、従業員が次の勤め先を探すなどの時間的猶予が必要であるというのがその理由です。
もし、30日以上前に解雇予告通知をせずに解雇する場合は、不足する日数分を解雇予告手当というかたちで支払うことが義務付けられています。

⑦ 従業員や役員への退職金の支給

自社を廃業する場合でも、従業員の退職金については、「労働条件通知書や就業規則」に記載しているのであれば、退職金を支払う必要があります。
ただし、「労働条件通知書や就業員規則」に退職金の記載がない場合には、支払いの義務がないため、支給されないのが一般的です。

役員に退職金を支給する場合には、「定款や株主総会」又は「取締役会」の決議により、行います。

⑧ 会社所有の不動産の名義変更

会社が所有する土地や建物などの不動産については、売却や贈与などにより、名義変更をする必要があります。

新たに買い手を探して売却するには、それ相応の時間もかかりますので、事前の準備が重要となります。

なお、役員や親族などの個人に、無償にて贈与することもできますが、法人を個人にそれぞれ多額の税金がかかることになりますので、その場合には特に注意が必要です。

解散の登記手続きや税務手続きなど

⑨ 解散の決議・清算人の選任(株主総会)

⑩ 解散・清算人選任の登記(本店所在地管轄の法務局)

⑪ 税務署などへ解散の届出(税務署・都道府県・市区町村)

⑫ 解散日までの事業年度の帳簿や決算書の作成

⑬ 財産目録・貸借対照表の作成

⑭ 債権者保護手続き(官報掲載の手続き)

⑮ 解散事業年度の確定申告書を提出(税務署・都道府県・市区町村)

上記手続きの詳細については、下記の「会社廃業をするための最低限の10の手続き」をご確認下さい。

「会社廃業をするための最低限の10の手続き」ページへ

従業員や役員に関する手続き

⑯ 労働保険(労災保険・雇用保険)の手続き

会社で労働者を雇用し、労働保険に加入していた場合には、労働基準監督署とハローワークへの届出が必要となります。

労働基準監督署への届出
  • 労働保険確定保険料申告書(事業廃止の日から50日以内)
  • 労働保険料還付請求書(還付の場合)
ハローワークへの届出
  • 雇用保険被保険者資格喪失届(退職日の翌日から10日以内)
  • 雇用保険被保険者離職証明書(退職日の翌日から10日以内)
  • 雇用保険適用事業所廃止届(事業所を廃止した日の翌日から10日以内)

⑰ 社会保険(健康保険・厚生年金保険)の手続き

社会保険の被保険者となっている役員や従業員がいる場合には、年金事務所への届出が必要となります。

  • 被保険者資格喪失届(退職日の翌日から10日以内)
  • 健康保険証(健康保険被保険者証)の返還
  • 健康保険任意継続被保険者資格取得申出書
  • 健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届(適用事業所でなくなる理由が発生した日から5日以内)

⑱ 役員や従業員への源泉徴収票の発行手続き

廃業する年の1月1日から最終給与までに支給した給与について、会社は「給与所得の源泉徴収票」を発行しなければなりません。

なお、退職金を支給する場合には、「退職所得の受給に関する申告書」を支給する者から提出してもらい、税金計算をして「退職所得の源泉徴収票」を発行しなければなりません。
(税金が発生する場合には、所得税については税務署に納付するとともに、住民税については、市区町村への納付が必要となります)

⑲ 個人住民税の特別徴収から普通徴収への変更手続き

特別徴収をしている役員や従業員がいる場合で、最終給与の支給が6月~12月のときは、その後の個人住民税について、それぞれの市区町村に「給与所得者異動届出書」を提出する必要があります。
なお、退職する月の給与や退職金から一括で差し引いて支払うことも可能です。

⑳ 各市区町村への給与支払報告書の提出

廃業する年の1月1日から最終給与までに支給した給与について、会社は従業員や役員の住所地の市区町村へ「給与支払報告書」を提出する必要があります。

なお、提出期限は、翌年の1月31日までですが、忘れないように、最終給与を支給後に速やかに提出しておいたほうが良いでしょう。

㉑ 税務署への法定調書合計表の提出

廃業する年の給与などについては、通常の年を同様に、「法定調書合計表」を税務署に提出する必要があります。

なお、こちらも提出期限は、翌年の1月31日までですが、忘れないように、最終給与を支給後に速やかに提出しておいたほうが良いでしょう。

㉒ 許認可の届出

警察署・保健所・都道府県などの許認可を受けている事業を行っている場合には、それぞれに定められた届出が必要となります。

清算手続き以降の手続き

㉓ 残余財産の確定・分配(会社)

㉔ 清算確定申告書を提出(税務署・都道府県・市区町村)

㉕ 清算結了の登記(本店所在地管轄の法務局)

㉖ 清算結了の届出(税務署・都道府県・市区町村)

上記手続きの詳細については、下記の「会社廃業をするための最低限の10の手続き」をご確認下さい。

「会社廃業をするための最低限の10の手続き」ページへ

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