会社が滞納している税金をそのままにして清算手続きをしたらどうなる?

会社の清算手続きは、資産のすべてを現金化して、未払いの債務を支払う必要がありますが、税金を支払うことができずに滞納の状態の場合には、どうなるのでしょうか?

法人がなくなっても納税義務は存続する

税金の滞納がある会社が、会社を整理して税金を払わずに逃げてしまうことを防止するために、正式な手続きにより、解散や清算結了して消滅した後でも、「税金を納める義務は履行するまでは存続する」と定められています。

税金の滞納はどうなるの?

会社清算後の税金については、納税する義務がある会社自体は消滅してしまっているので、「清算人」と「残余財産の分配を受けた者(株主)」が、代わりに納税義務を負うことになります。(これを専門用語で『第二次納税義務』といいます。)

第二次納税義務

下記の3つに該当する場合には、「清算人」と「残余財産の分配を受けた者(株主)」が、消滅した法人の滞納している税金について、代わりに納付しなければならないこととなっています。

  • 法人が解散したこと
  • 当該解散した法人に課されるべき国税などを納付しないで、清算人が残余財産の分配等をしたこと
  • 当該法人に対して滞納処分を執行してもなお徴収すべき額に不足すると認められること

つまり、すべての手続きが完了した後に、残余財産の分配により会社が納付できなかった税金だけでなく、申告書の誤りなどで不足税額が発生した場合には、「残余財産の分配を受けた株主」と「清算人」が、代わりに納税義務(第2次納税義務)を負うこととなります。

ただし、無制限に納税義務を負うのではなく、残余財産の分配を受けた株主は「分配を受けた財産の分配時の価額」、清算人は「分配をした財産の分配時の価額」までが限度額となります。

どうしても気になる方は、国税不服審判所の判例がありますので、確認して下さい。

国税不服審判所HP:公表裁決事例

https://www.kfs.go.jp/service/MP/11/0302000000.html

滞納している税金を調べる

お亡くなりになった経営者に代わって、親族などが会社の廃業手続きをする場合には、「会社に滞納している税金があるかわからない」というケースや、「滞納している税金が無いかどうかキチンと確認しておきたい」というケースもあるかと思います。

その場合には、税務署や自治体にて「納税証明書(未納の税額がないことの証明)」を入手することにより、確認することができます。

どうしても納税できない場合には

 

納税の猶予申請

税務署などに申請することにより、一定の要件に該当するときは、原則として「1年以内の期間」に限り、納税の猶予が認められるという制度があります。

この納税の猶予を受けるためには、納付できない事情や納付計画などを記載した『納税の猶予申請書』を提出する必要があります。
(担保の提供が必要な場合があります)

なお、納税の猶予を申請しても、あくまでも納付期限の延長ですので、この申請により納税義務がなくなるわけではありません。

滞納処分の執行停止制度

納税猶予の期間が1年あっても、税金を支払うことができない場合もあります。

その場合で、滞納処分の停止状態が3年間続いたときには、一定の条件のもと、税務署は滞納処分の執行を停止することがあります。

この「滞納処分の執行停止」を受けた場合には、滞納している税金は消滅し、支払いが免除されることになります。

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